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映画「スリー・ビルボード」(監督:マーティン・マクドナー)を観た感想

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 アカデミー賞2部門受賞の映画「スリー・ビルボード」という映画を紹介します。

 

 

基本情報

監督:マーティン・マクドナー

出演:フランシス・マクドーマンド、ウディ・ハレルソン、サム・ロックウェル

 

フランシス・マクドーマンドはこの映画でアカデミー賞主演女優賞を、サム・ロックウェルはアカデミー賞助演男優賞を受賞。

総合評価

4.5点(5点満点)

 

あらすじ

ミズーリ州の田舎町で、少女が殺害された後に焼かれるという事件が起こり、半年以上経っても、犯人は捕まらず、というときに、被害者の母親が警察を批判する広告を三枚の大きな看板に出す。田舎町でのことなので、そのような行動は周囲の住民に強い衝撃をあたえる。

アメリカ南部の田舎というと、どれだけ警察やその周囲は差別や偏見が強いのかと予想するが、話は意外な方向に向かう。

 

被害者の母親のミルドレッド(フランシス・マクドーマンド)に批判された警察署長(ウディ・ハレルソン)は善良な人物ということが描かれ、周囲の人たちはミルドレッドに批判的な態度をとる。

 

しかしながら署長は末期がんのため自殺する。部下の警官のディクソン(サム・ロックウェル)は広告板を貸したリベラルな感じの広告屋を怒りにまかせて叩きのめしたり、母親のミルドレッドは警察に怒りをぶつけて火炎瓶を投げて警察署を焼いたりと、周囲が理性を欠いた行動をとる。

 

その時、偶然に警察署の中で署長の遺書を読んでいた警官のディクソンは、大火傷をして入院するのだが、自分が大怪我をさせた広告屋に病室でちょっとしたことを手伝ってもらい、複雑な表情をする。

育ちの良さそうな広告屋が、なにげなく動けないディクソンの、ちょっとしたことを手伝うのだが、ディクソンにはとても意外だったようだ。

 

そして少し回復したディクソンは、近所の酒場に飲みに行くのだが、偶然、近くの席で事件と同じような事をしたことを自慢している客がいたので、うまく挑発し、自分が殴られながらもDNAを取れそうな物を相手からとる。

 

そして事件現場に残っていたものと照合するのだが、違う人物だという事が判明する。

しかしながら酒場の男がどこかで同じようなことをして、被害者と遺族がいるということから、その相手の所へミルドレッドと共に散弾銃を持ち車で出発する。

 

印象に残ったところ

ストーリーが進むにつれ、事件を解決できないことを広告で名指しで批判された署長が家族思いで誠実な人物であることが判ってきたり、冷笑的な態度の広告屋が殴られて重傷を負わされても、危害を加えた警官を恨まない人物という事が判ってきたり、警官のディクソンが差別的で暴力的な人物でも、酒場で容疑者かもしれない客に偶然出くわすと、わざと殴られたりしてまでDNAを採れそうなものを手に入れたりと、最初の印象と違う面がどんどんと出てきます。

 

よく映画などであるように、何かの転回点があって態度が変わる、というよりも、人間の多面性、柔軟性を言うものを考えさせる展開です。

 

映画のストーリーの中の様々な由来が、セリフやシーンで語られていくので、面倒な映画は好きではない人に向いていないでしょう。

 

しっかりしているのか、粗野なのかわからないミルドレッドも、広告板の近くで鹿を見ると、娘の生まれ変わり?などと言ってみたりという意外な面を見せます。

 

米国の80年代は暴力犯罪の増加から、さまざまな自警団映画、「エクスタミネーター」「狼よさらば」などが作られたが、暴力犯罪が90年代以降減少しても、経済状態やメディアの影響などで、半数の米国人が犯罪は増加していると考えていることと、伝統的な自助の精神でこのような展開になるのでしょう。

jp.reuters.com

www.afpbb.com

図録▽米国の犯罪件数の推移

図録▽他殺率の推移(国際比較)

さらに海外での紛争の拡大と長期化により、米軍兵士の犯罪が報じられていることで、現代的な展開になったのかもしれません。

 

監督のマーティン・マクドナーは、英国の劇作家、脚本家、映画監督であり、‘96年に舞台の戯曲でデビューし、’04年に短編映画を作りアカデミー短編映画賞を受賞し、長編は4作目。とくに何かの高等教育を受けたわけではなく、戯曲で成功するまでは非正規で働くか、失業手当で生活していたとのこと。演劇よりも映画が好きと述べています。

 

主演のフランシス・マクドーマンドは、コーエン兄弟の「ファーゴ」(’96)で、抜けているが残虐でもある事件を捜査する女性警察署長をのほほんと演じていました。今回はその逆の役を演じています。

 

ウディ・ハレルソンは「ナチュラル・ボーン・キラーズ」「ノーカントリー」「猿の惑星 聖戦記」などで、悪人や悪役の親玉を演じていたので、今回もそのようなキャラクターを演ずるのかと思っていましたが、全く違う役でした。

こんな人におすすめ

TBSラジオで、映画解説の宇多丸さんも、この映画を絶賛していたので、映画ファンなら気に入ると思います。

 

単にアクション映画が好きとかロマンス映画が好きという人にはたぶん合わないでしょう。「ウインターズ・ボーン」や「ゴーンガール」などの、アメリカ南部を描いたダーク系の映画が好きな人には合うと思います。

 

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