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岡田美智男著「弱いロボット」引き算の発想から見えてくるもの

岡田美智男さんの著書を2冊ほど読んだので、その研究について紹介します。

ロボットを使って、人との関係をみる??

ロボットというと正確な計算や作業をする、様々な機能で人間の出来ないことをするというイメージがありますが、機能を限られたものにして、その外観やたたずまいから周囲の人との関係が作り出される事に関して豊橋技術科学大学の岡田美智男さんは研究しています。

たどたどしい外観、動作にすることで、周囲が「このロボットは何をしたいのだろう?」「手伝ってあげようかな?」という関係性を引き出すというのは、これまでの『単独で完結して様々な事が出来るようにする』いうロボット研究とは方向性が大幅に違っています。

完結していない所から、周囲との関係が生じてくるので、あえて機能を絞ったロボットで周囲との関係の生成を考察しているんです。

日常の様々な製品でも多機能な方が売れるので、なし崩しに機能が追加されるというのは、テレビのリモコンを見ても解りますよね。

次々と機能を足していくという「足し算のデザイン」から、出来ないことは周囲に手伝ってもらおうという「引き算のデザイン」にしていくと、周囲との関係が豊かになるとのこと。

周囲との関係を作り出すのにはその外観などの身体性が大きな意味があり、相互の身体の間で起こってくる関係性や場に岡田美智男さんは関心があると言っています。

特定の機能のために、特定の要素のみを取り出して数値化、定量化すると、見えなくなるものを研究したいとのことです。すごい!

実際に研究で作っているロボットの例をあげれば、ゴミを見つけられるが拾えないゴミ箱ロボット、たどたどしく話す会話ロボットなどがあります。

自分ではゴミを拾えない「ゴミ箱ロボット」、「む~む~」の声にあわせぷるるんと揺れる「む~」、相手の目線を気にしながらオドオドと喋る「トーキング・アリー」。岡田美智男さんは一見役に立たないながらも、目が離せない「弱いロボット」 をつくっていると言います。本インタビューでは「ロボットになぜ弱さが必要なのか」をテーマに、人間はなぜロボットに心を感じるのかお話を伺いました。(聞き手・構成/山本菜々子)&n
ロボットになぜ「弱さ」が必要なの!?――ロボットと生き物らしさをめぐって | SYNO... - synodos.jp

完結していない部分を明示して、人との関係を生み出すロボットを通じた、人と人、人と環境の間に関する研究です。


なんでこんな研究始めたのだろうと思ったんですが、岡田さんは、仕事で関西に転勤した時に電車の中で高校生の「あれ〇〇ね~」「それって△△~」という、じゃれ合うような会話に関心を持ち、コミュニケーションについて考えたとのこと。なんだか着眼点が違いすぎますねー。

いかに相手に委ねるか、いかに受けるかに関しての考察はこれまで少なかったのではないでしょうか。

ホンダのASIMOにしても足を受ける地面があるから歩けるというところから考察していて、「足を受ける地面がある」ということを考える人は少ないと思います。こういう思考をもとにあえて不完全さを前面に出した「弱いロボット」を製作して、周囲との関係の生成を見えやすくしたそうです。

まとめ

ロボットを使った関係の生成に関する研究。

人の能力と周囲の関係を見ることは、医療、リハビリ従事者にも大いに参考になる研究ではないかと感じました。